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【ハイキュー!!】行け!烏野高校排球部

第2章 “エース”を連れ戻せ


「東峰先輩・・・・!」
扉から姿を見せた東峰先輩は、黒いジャージを纏っていた。ゆっくりした動作で体育館の地を踏む様子は、ここに来る事を戸惑っている様に映った。私と影山さんは急いで東峰先輩の元へ向かった。鳥養監督はヒラヒラと手を振って声を掛けてくる。

「おー、準備お疲れさん」
「いえ、ありがとうございます」
「今チームメンバー決めてるとこなんだが・・・・お前らの方から一人セッター貸してくれ」
影山さんとスガ先輩の表情に一瞬で影が差す。二人の頬に汗が一筋流れる。両者共に表には表れていないが、強い苦悩に苛まれていることは一目瞭然だ。スガ先輩の視線が床に落とされた。その動きに思わず目を向けると、私は息を飲んだ。スガ先輩の身体がふらりと前に進み出た。まさか―――


「スガさん!?」
全員が驚愕に襲われる。田中先輩は堪らず声を上げる。やはりあの表情は自分から町内会チームのセッターを買って出ようと決意した表情だったのか。まるで、烏野のセッターを譲り渡すかのように――――





「俺に譲るとかじゃないですよね」
「!」




冷えた低い声がスガ先輩に投げられる。私に向けられたものではないのに、何故か額に汗が噴き出た。普段より一段と低い声は、スガ先輩の真意を探るかのようだった。
「菅原さんが退いて俺が繰り上げ・・・・みたいなの、ゴメンですよ」
スガ先輩は制止したまま影山さんの言葉を受け止めている。影山さんの鋭い眼差しはスガ先輩に突き刺さったまま動かない。
譲られるなんて冗談じゃない、そんなのは許さない。彼の瞳はそう語る。その感情に、ゾクリと背筋が凍るものがあるが、私も影山さんの立場だったら黙ってられないだろう。コートに立てる権利は自らの手で捥ぎ取りたい。自らの実力で掴みたい。わたしもそう思う。
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