第2章 “エース”を連れ戻せ
* * *
今日も3年生の階へとやってきている。昨日と同様緊張するが、来ないわけにはいかない。合宿に、東峰先輩も来て欲しいのだ。東京の強い学校との戦い。必ず東峰先輩の力は要る。それに私は昨日東峰先輩を連れ戻せなかった。自身の失敗をそのままにはしておけない。3年生の廊下へと足を踏み入れた瞬間、身体に衝撃が走る。
「うわっ!!」
「わっ!!悪い!!大丈夫か!?って、瀬戸!!」
「スガ先輩!すみませんぶつかってしまって!」
「悪いのは俺だよ!お前に用があって急いでたんだ」
「え・・・?私に、ですか?」
スガ先輩の言葉に目を瞬かせる。もしや何か仕出かしてしまったかと冷や汗が伝う。
「あ、別にお前がやらかしたとかじゃないから慌てないでくれよ?」
エスパーですかスガ先輩。スガ先輩の悪戯っぽい笑みが素敵なのがまたズルイ。しかし、不意に一転してスガ先輩が遠足前日の子供の様な笑顔を浮かべる。スガ先輩は少し屈んでひそひそと嬉しそうに呟く。
「実はさ、もしかしたら旭部活来るかもしれないぞ!」
「えっ!?ホントですか・・・?!」
「うん!実はな、昼休みに日向達が来て旭を説得してたんだ。話し終わった後、旭なんだか考え込んでるみたいだった。もしかしたら今日の放課後来るかもしれない!」
「そうだったんですか・・・・!日向達凄い・・・・」