第7章 おかしな烏野高校排球部
「んじゃ、ちょっと本題なんだけどさ」
「? 本題?」
日向は首を傾げると、鴨一はニコリと笑みを浮かべて口を開く。
「君達さ、伊鶴のこと好きなの?」
「「「「!!?!!?」」」」
「おー。その様子だと俺の予想は間違ってなかったみたいだね。嬉しいなぁ」
大して嬉しくもなさそうに上面の言葉を淡々と吐き出す。只、本当に空っぽな訳ではなく、その言葉に含まれているのは『面白いことになりそう』という悪質な好奇心だった。
そしてその好奇心と同時に、鴨一の胸中の脳内を常に占めている『あるモノ』も大きく胎動する。本来ならばとっくに彼の表情に出ていても可笑しくない程大きなその感情を、中学時代から培ってきた仮面を活用し完璧に覆い隠す。
鴨一自身、そして実の妹も認める特技の世渡り上手は、鍛え上げられた表情の使い分けも大きな要因の一つだ。
「え、なっ、っづぁ」
「飛雄くん動揺し過ぎだよ?ははは、若いねぇ」
影山は顔を真っ赤に染め、動揺により奇妙な言葉がその口から漏れた。そんな影山を、鴨一は宥めるようにその形の良い頭を撫でる。