第4章 猫と鴉は再び兵刃を交える
─────ドッ!!
日向がまたスパイクを決めた。犬岡さんのブロックは追いつかなかった。ここでも日向の“囮”が発揮されたのだ。現在烏野12点、音駒9点という状況だ。烏野がリードしている。
「………あの10番、今んとこ何本決めた?」
猫又監督は不意に問い掛けてきた。今私は、普段は芝山さんが行う記録付けを代行させてもらっている。監督の問いに対し、私は手元の記録用紙に目を落とす。
「12点中4本です。そして、日向…10番の囮により、他のウィングスパイカーの方達の決定率も上がっています」
「とんでもねぇな……って、ヒントみたいな事言っちゃって良いのか?本当は烏野マネージャーなのに」
猫又監督は目を瞬かせる。思わず内心でハッとする。やっべ烏野のみんながリードしてるからって嬉しくなってペラペラ喋っちゃった。調子に乗るなよ私のおたんこなす。一瞬冷や汗をかくが、平静を取り繕い、ゆっくりと答える。
「…私が言っても言わなくても、監督は必ず気付いてたと思いまして。それに、今は音駒のマネージャーですから、責任をきちんと果たさないとと、思ったので……」
「ん、まあそれもそうか。お、っとと…忘れるとこだった」
猫又監督はすぐさま両腕でTの形を作る。それに気付いた音駒の審判さんは笛を鳴らした。音駒高校タイムアウトだ。