第4章 猫と鴉は再び兵刃を交える
「リベロもスパイカーも良いのが居るな烏野!でも、一番とんでもねえのは…────セッターかな?」
「!」
「いやはや。瀬戸ちゃん、彼は天才というものかね?」
さすが、よく見ている。
異様な程正確なボールのコントロール、加えて優れたセンスと、研ぎ澄まされた判断力。影山さんの才能は天才と呼ぶに相応しいものだ。
「監督こそ」
「ハハハッ!こらこらからかうな瀬戸ちゃん。しかし、そうかぁ、やはり彼は天才か。まいったなぁ~こりゃ……」
猫又監督は深く息を吐き、椅子の背凭れに体重を預けた。監督の額に汗が滲む。
「彼は、コントロール、センス、判断力。どこを取っても優れています。中々、手がかかるかと」
「ふんふん……ん?瀬戸ちゃん、昔バレーやってたのか?何やら詳しそうじゃないか」
猫又監督は私を見上げた。むむ…やっぱり鋭い。言葉の一つ一つを吟味し、そして過敏に反応する。いやーこっちも参っちゃうぜ。
「中学の時の部活で齧ってただけですよ」
「それにしては中々良い観察眼してるように思うがねえ~」
「烏養コーチからの聞きかじりです」
「ハッハッハッ。そうかいそうかい……」
猫又監督は猫の様な瞳孔を光らせ、笑みを浮かべる。探るような瞳が突き刺さる。マジで怖いです監督。
お金差し上げるので これ以上の追究は勘弁していただきたい。