第1章 瞳の先
「主将って呼ぶ理由は、私が部活のキャプテンを主将って呼ぶのがカッコ良いなって思ったからです」
「あ、そういうことか・・・・・」
「い、嫌ですか?」
主将は、って頭の中ではめっちゃ主将って呼びまくってるんだけどね。頭の中くらいでは許して貰おう・・・。
主将は顎に手を当て、気難しい顔で沈思した。すると不意に主将はパッと顔を上げた。
「良い・・・・!」
「へ?」
「主将って凄い良い!」
主将の中でどんな会議されたんだろ・・・・・。
「確かにカッコいいしうちの部では主将って呼ぶ奴もいないし凄い良い!そう呼んでくれ!!」
先程のドン底の様な雰囲気とは一転して、花でも飛ばしてんじゃないかってくらい良い笑顔を咲かせている。何はともあれ主将って呼ぶカッコ良さを分かってくれたなら私も嬉しい。
「ちなみに瀬戸は他の奴らの事は何て呼んでるんだ?」
スガ先輩の問い掛けに、自然と後方を振り返ってしまう。そこではまだ4人がワイワイと(というかおもに田中先輩と西谷先輩)盛り上がっている。視線を戻すとスガ先輩の顔を見る。
「えっ、と、あの4人の事ですか・・・?」
「うん。あ、そうか。他のメンバーはまだ知らないもんな」
「はい。あ、えっと、呼び方ですよね。今はあの4人のことは、日向、影山さん、田中先輩、西谷先輩って呼んでます」
そう答えると、主将とスガ先輩は互いの顔を見合わせる。すると掛け声も無しに二人は片手ハイタッチをした。何故急にと目を白黒させていると、主将とスガ先輩は嬉しそうに口を開いた。