第4章 猫と鴉は再び兵刃を交える
第4章 『猫と鴉は再び兵刃を交える』
* * *
「よぉーい…ドンッ!!」
「「「「……」」」」
「あの、ボゲ!!待て日向っ!!」
朝8時からのロードワーク前のストレッチが終わると同時に勝手に号令をかけ、疾風の様に飛び出していった日向を状況の理解出来ない私達は見送る事しか出来なかった。そして一拍遅れて状況を理解し走り出した影山さんも。
自由か日向。
* * *
「アイツら、ていうか日向大丈夫かー?」
鳥養コーチがしゃがみ込みながら不安げに吐き出した。
「アハ、どうなんですかね?でもみんないるし大丈夫なんじゃないですかね?」
くしゃりとした笑顔を浮かべて先生は返事を返す。先生、日向の思考は予測不能な事を忘れないでください。
「んー…だと良いんだけどなー」
鳥養コーチは後頭部をわしわしと掻きながら眉根を寄せる。まぁそりゃ心配だよ。だって予測不能の日向さんだもの。
「あ、悪ぃそこのペットボトルのお茶取ってくんね?」
「はい、分かりました」
ドリンクの籠の側に置いてあるペットボトルを手にすると、烏養コーチに手渡す。コーチはサンキュッと軽くお礼を言うと蓋を捻り、お茶を一気に煽った。その瞬間、スガ先輩が息を切らせて駆け込んできた。
「す、すいません!!日向迷子になったっぽいです!!」
ブッッ─────────!!
コーチの口からお茶が噴水の様に噴き出た。飛沫となったお茶は霧のようになる。日向…予想通り過ぎて何も言えない。
「すまん瀬戸、日向探すの手伝ってやってくれないか?俺胃薬飲んで来るわ…」
「了解です。コーチは病院で胃の検査受けてきてください」
烏養コーチの胃が穴だらけな気がしてなりません。