第1章 そして…儚さを知る
深夜の救急車によって運び出された人物がだった事は後から知った。
翌日、の両親も駆けつけた。
俺も練習は休みを貰って病院に駆けつけた。
「久しぶりです。」
「永吉君…。」
「は…病気か何かなんですか?」
俺の問いかけに二人は顔を見合わせた。
「、急性の白血病なのよ。系統が不明だから治療法が確立されてなくて。
だから、寮生活なんて反対したんだけど…あの子頑固でしょ? どうしてもって聞か
なかったの。」
何にも言われなかった…とは言っていた。
本当は反対されていたのに。
しかも、病気である事を俺に隠して。
「いつからですか?」
「あの子、よく痣とか作ってたじゃない? たまたま、ちょっと貧血気味で熱が続いた
から念のため精密検査を受けて、去年の秋頃だったかな?その時に分かったの。」
俺が…京都に行くと言ったから。
は俺を追って来た。
が運び込まれたのは明らかに俺のせいだ。
離したくない。
そう思っていた人物の危機的状況を自らで作ってしまった事に愕然とした。
「すみません…。」
その一言しか俺は返す事が出来なかった。