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【合同企画】舞い散る花びら

第7章 優しさを君に


「ねぇ〜!チャン。今度何時行って良い?」
「チョット…シーっ!!」
お昼休みに花壇の手入れをしているチャンの側で声を上げるとチャンは慌てた様に
唇の前で人差し指を立てた。
「なんでだよ…誰も聞いてないって。」
分かってる。オレとチャンは生徒とセンセーだから、この関係はヒミツだって事。
「誰かに聞かれたら困るからダメなの!それに学校では“先生”でしょ!」
「ちぇーっ。つまんねぇーの。」
オレがちょっと拗ねるとチャンは困った顔をする。
分かってる。困らせちゃイケナイって事も。チャンの言ってる意味も。
だけど、インターハイの地区予選が本格化して練習と試合で休みは皆無に近い今の状況で、
オレにとってチャンと過ごせる事がどんなに楽しみな事位か理解して欲しい。
「センセー。オレ、今度の水曜日、久しぶりに休みなんデスケド。」
チャンは少し考えている。
「ソレって休みなんじゃ無くてテスト期間でしょ!」
「チャンも知ってるだろ?ウチはテスト期間も休み無いって。」
「インターハイ前とウインターカップ前だけね。だけど、それは今までバスケ部の生徒が優秀だったからよ。
赤点を出す様な生徒は居なかったからよ?」
「その言い方ー!別にオレ赤点取った事無いし!!」
オレの抗議にチャンがクスクス笑った。
その笑顔はとっても可愛くて優しい。
オレはその笑顔が大好きで仕方が無い。
「じゃあ…少しだけ…ね?」
「ホントに?!」
「その代わり、ノートと教科書持ってきてね?」
「うん!チャンと過ごせるならテストベンキョーでも何でも頑張るッ!!」
思わずチャンをぎゅーっと抱き締めるとチャンはオレの背中を思いっきり叩いた。
「いってぇ〜!!その力、あり得なくね?」
「葉山クン! ココ学校なんですけど!」
あ…忘れてた…。
「ゴメン。」
チャンは眉毛を少しだけ八の字にして笑った。
「ね! オレも何か手伝うよ? 何かある?」
「じゃあ、倉庫から栄養剤を取ってきてくれる?」
「オッケー!」
花壇の脇にある倉庫へオレは駆けて行く。

少しづつ頼れる男になりたい…

花壇の花を見て優しい笑顔を思い出した。
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