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【合同企画】舞い散る花びら

第7章 優しさを君に


「あ…実渕クン…。」
「チョット…コレは…。」
彼女の家に到着して直ぐに、アタシはまるで地獄絵図の様な光景に唖然とした。
可愛い可愛い彼女からのヘルプメール。
幸いにも練習を終えていたアタシは直ぐに駆けつけたのよ。
するとこの有様…。
「、アナタが料理苦手なのは分かっていたけど…どうしたらこんな風になるのか理解に苦しむわ。」
今にも頭痛のしそうな光景に目を伏せてアタシは頭を抱えた。
「途中までは良かった…と思うんだけど…。」
その大きな瞳からは今にも涙が零れ落ちそう。
まるで捨てられた仔犬のように潤んだ瞳で上目遣いなんて…
甘やかさずに居られるはず無いじゃないの。
「餅は餅屋って言うでしょ? 料理がダメなら出来る人に任せればいいのよ。」
の頭を優しく撫でると、まるで子供の様にしがみついて来る姿が本当に愛らしい。
「ココに料理上手がいるのをお忘れかしら?」
「だって…実渕クンに手作りしたかったんだもん。」
「その気持ちだけで充分よ。さ…片付けなくちゃね?」
服の袖を捲り上げるとはしぶしぶアタシから離れて片付けを始めた。
台所には所狭しと並んだ材料。
その材料から察するに…クッキーと言う所かしら。
が料理オンチだと言う事は付き合いだして直ぐに気付いたの。
だって…レモンの蜂蜜漬けよ?
スライスせずにくし型切りってどう言う事よって思わずツッコミたくなったわ。
文句言わずにバクバク食べていたのは永吉くらいだったわね。
一通り片付けが終わるとアタシはの背後に立つ。
「アタシが見ててあげるわ。」
の細い腰に腕を回して耳元で囁くように話し掛ける。
「み…実渕クンが居たら緊張する。」
「あら?それは意外ね?もっと…イケナイ事してるのに。」
の頬が紅潮する。
「ココは学校じゃないのよ? 何をしても誰にも咎められたりしないわ。」
の首筋に口吻を落とすとアタシは彼女を解放する。
「さあ、料理はアタシが先生ね。は生徒なんだから、言う事聞いてね。」
頬にチュッと口吻けをすると、が可愛い笑顔を見せてくれた。
「実渕クンなら教員免許直ぐとれそうね。」
「ふふ。アタシは専属がいいわ。」
二人で作るクッキーの香りはまるでの様に甘い。
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