第4章 ヤキモチ
「ねぇサン。」
「何?」
「どーして“葉山君”なの?」
「え?」
「どーして俺だけ違うんだよ!!」
突然の大きな声にサンは驚いていた。
「レオ姉だって永チャンだって…赤司も名前で呼ぶのに、
どーして俺だけ葉山なんだよ!!」
サンは何も言わずに目を伏せた。
「俺、彼氏じゃないのかよ。そりゃ…練習ばっかで、
二人の時間って少ないけど、メールだって電話だって時間作ってるし。
歳下で頼りないかもしんないけど、勉強だって頑張ってるし。
サンの彼氏で恥ずかしくない男になる為に頑張ってるつもりだけど。
俺じゃ無理って事?」
サンの瞳が揺れた。
傷付けた…分かってる。
メチャクチャな事言ってる自覚はある。
「あんな…カッコイイ奴が幼馴染みなんてずりーよ。
俺、敵いっこないじゃん…。」
涙が出そうだった。
好きなだけじゃダメなのかな…って。
「葉山君。ごめんね。私…そんなに気にしてると思わなくて。
名前で呼ぶの…なんだか恥ずかしくて。だけど、葉山君がイヤだって言うなら
少しづつ呼ぶようにするから。そんな悲しい顔しないで。」
サンは俺の顔を覗き込むように見上げている。