第4章 ヤキモチ
「。」
「え…?」
「俺も、って呼びたい。」
「うん。」
が恥ずかしそうに俯いた。
「勝手な事言って、傷付けてごめん。」
は静かに首を振った。
「ねぇ…抱き締めて良い?」
「う…ん…。」
好き過ぎる彼女を腕の中にそっと閉じ込める。
早過ぎる心音が伝わってしまいそうな気もするけど、
腕の中に居るって事が嬉しくて離せそうにない。
「小太郎の鼓動…さっきから早い。」
初めて呼ばれた名前に嬉しくなる。
「うん。スゲー、ドキドキしてんの。
けど、離したくなくて。」
「うん…。」
長い沈黙は俺の欲望を突き動かす。
「ねぇ…キス …したい。」
腕の中に閉じ込めていた小さな身体を少し離して、
俺は顔を覗き込むように少し屈んだ。
「ダメ…?」
俺の言葉に大きく首を振るの顔は首まで真っ赤になっている。
俺のジャケットにしがみ付くように強く握られた手。
恥ずかしいんだろうなって思えて、そんな仕草がスゲー可愛い。
先ずはおでこにキスをした。
すると益々俯いてしまった。
「可愛い。」
一言だけ呟くと俺はそっと唇を重ねた。
触れるだけのキス。
それでも俺には十分甘くて。
唇を離すと風に乗って桜の花びらがフワッと舞った。
「ずっと好きだ。」
目の前にはらはらと舞い落ちてくる花びらに誓いをたてるように、
俺はもう一度口吻をした。