第4章 ヤキモチ
「あっ…あのさ。コレ。」
「コレ?」
「うん。コレ…サンに。」
サンは目をまん丸にして俺の差し出す紙袋を受け取った。
「開けて良い?」
「う…うん。」
目の前でサンが丁寧に包装を解いていく。
その光景をドキドキしながら見つめていた。
「コレって…。」
「ア…アロマキャンドルなんだ。桜の匂いがするって言ってた。」
「言ってた?」
「あ…う…うん。レオ姉が…。」
しりすぼみに小さくなる声。
今更ながら、作戦失敗…かななんて。
「ありがとう。」
それでもサンは笑顔を向けてくれた。
「あの…さ…。」
「うん?」
「今日、ホワイトデーだから。」
「あ…そっか。わざわざありがとう。」
「そーじゃなくて…さ。」
“好き”の一言が言えなくて。
サンが真っ直ぐ見つめる視線がだんだん苦しくなる。
「おっ…俺!!サンが好きです! …つ…つ…
付き合って欲しい!!」
緊張のあまり大きくなった声に自分でもビックリ。
「あ…。」
「あ…イヤ…あ…その…やっぱダメだよな…へへ…。」
やっべぇ。俺スッゲー泣きそう。