第4章 ヤキモチ
「一年外周行って来い!」
特待生だからって何かが特別ってワケじゃない。
フツーに基礎体力しなきゃなんねーし。
練習開始前のロードワークは必須。
(ただ走るってのもなぁ…つまんネェな…。)
後ろでゼェゼェ言ってる同級生を尻目に俺はチョット遠回り。
この前の部活見学で見れなかったトコが何なのか確認。
その建物がある場所を『離れ』って呼ぶのは最近知った。
白壁のその建物が視界に入ると俺はスピードを上げた。
『離れ』と呼ばれるその敷地内は制服姿の生徒と道着姿の生徒が
行き交っている。
「誰も居ないじゃん。」
建物の前に立つと、そこは『弓道場』とかかれてあった。
「ふ〜ん…弓道場ねぇ…。」
体育館と違うその建物の中が気になったけど、
誰も居ないんじゃ確認する術がない。
(また今度でいっか…。)
俺は大きく伸びをすると、ロードワークに戻る。
体育館に戻ると先に戻っていたレオ姉から声を掛けられた。
「ちょっと!! アンタ何処行ってんのよ!」
「フへッ? あー…ちょっと寄り道?」
「ったく…先に戻ってるものだと思えば居ないし。
ヒヤヒヤさせないでよ!!」
「ワリー。」
俺は舌をぺろっと出して謝る。
軽くストレッチをしてからコートに入ると直ぐにレオ姉と二人組でシュート練習。
やっぱボールを触ってる時間はスゲー楽しい。