第1章 そして…儚さを知る
全中を終えて、さぁ受験って時には体調が悪くなる事が増えた。
「ねぇ、永吉。京都の学校に進学するってホント?」
「ンア? 未だ決めちゃいねーけどな。」
「ふ〜ん…私も同じトコ行きたいな。」
「自分のコトだろ。そんな事で進路決めるんじゃねーよ!」
「うん…。」
ホントは嬉しかったのに、わざと突き放すようにしてしまった。
はあからさまに寂しそうな表情をした。
「…っ…けっ…けど、オマエがどーしてもって言うんなら来ればいいじゃねぇか。
けど、京都の学校は頭良いトコだからそーとー勉強しねぇと無理だぞ。」
「ホント? 私も一緒に行っていいの?」
ぱぁっと花が咲いたような顔で目をキラキラにさせた。
「バッ…バカ!! 遊びに行くんじゃねぇーぞ。そんな嬉しそうな顔するんじゃねぇ!」
小さい頃からずっと一緒に居た。
だから、離れてしまうのは寂しいと思った。
ただそれだけの事かもしれないのに、の態度に勝手に期待しちまう俺。
告白する勇気だって無いクセに。
…いや、そうじゃない。
コイツが居なくなる。
それが怖い。
だから俺は何も言えずにいる。
初めて会ったあの日から抱いているこの想いを。