第1章 そして…儚さを知る
俺の胸に振動を与えた右手首ら辺に500円玉サイズの痣がある。
「ソレ、どーした?」
「あ…これ? ん〜覚えてないんだよね。」
そそっかしいのか、何なのか。
はこう言う本人の身に覚えのない痣が多々ある。
「またどっかでぶつけたんだろ。」
「ん…かなぁ。」
「オマエはそそっかしいからな。」
「ヒド〜イ!!」
そう言ってはまたほっぺを膨らませた。
「太ったみたいに見えるぞ。」
ドンッ…!!
さっきより強めの力で俺の胸に振動を与える。
その顔は不機嫌を隠そうとせずに俺を睨みつける。
「痛くねーよ。ほら、膨れてねーで、行くぞ。」
立ち上がって手を差し出してやればそっと重ねられる掌。
軽すぎるの手を引き寄せればポンっと簡単に身体が浮く。
「ブッハハハ!! 軽過ぎだろ。肉食って太れ。」
「もう! 女子に向かって太れとか失礼な!!」
「おうおう、そんな鶏ガラみたいなヤツ誰も寄ってこねーぞ。」
別に少々太ってようがデカくなろうが俺にとっては関係ねぇ。
ってか、もう少し肉がついてたほうが俺好みなんだよな。
チラッと横目でを確認すると俺を見上げると目が合った。
「何よ?」
「別に。」
好きだなんて恥ずかしくて言えたもんじゃねーな…。
そんな事を考えたのが小っ恥ずかしくて、頭をガシガシと掻いた。