第3章 桜雨
必死に追いかけての後ろ姿を捉えた。
「!」
声を掛けるとビクッと肩を震わせてまた走り出す。
(勘違いされたままなんてたまったもんじゃないわ…。)
体育館と校舎を繋ぐ通路でアタシはを捕まえた。
「…話を聞いてちょうだい。」
「イヤよ。玲央は髪の長い子が好きなんだって思ったから、
私も玲央のタイプに近付きたくてっ…。」
の声が震えている。
「違うのよ。勘違いしてるわ。」
「何が勘違いだって言うの? ショートカットの子が好きだって
ハッキリ聞いたのに!」
突然地面を濡らす雨粒。
桜の花びらを伝う雨粒があの日を思い出させる。
「、アタシねアナタとアノ彼が別れ話をしていた日。
アタシもあの公園に居たのよ。」
ずっと隠していた…その事を打ち明けると、の目が驚きで大きく見開いた。
「隠しててごめんなさい。決して盗み見するつもりじゃなかったの。」
「…。」
大粒の涙が…まるで空から降ってくる雨のように幾つもの頬を濡らしていく。
その涙を優しく拭いとる。