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【合同企画】舞い散る花びら

第3章 桜雨


それは他愛のない会話…のはずだった。

「俺は好きなコがしてるならどんなだっていいかな〜。」
「コタはね、拘りって無さそうよね。」
「永ちゃんは?」
「俺か…良く食べる子だな。」
「アンタそれ答えになってないじゃない。髪型の話してんのに“良く食べる子”って
何なのよ。」

永吉は気にした様子もなくガハハハなんて笑ってる。

「じゃレオ姉は?」
「アタシ? そうね…基本的にはショートカットの子が良いわね。
見た目スポーティなのに、女性らしさを感じさせてくれるとギャップ萌えしちゃうわ。」

パタパタパタ…
遠くで響く足音。
休み時間に生徒が廊下を走るなんて日常茶飯事で然程気にしてはなかった。

「えー!!なんか意外。」
「あら?どうして??」
「だって、あの子髪の毛長いじゃん!」
「は特別なのよ。あの子の長い髪の毛は特別。」

あの雨の日に思いを馳せていると突然響いた声。

「口は災いの元…とはよく言ったものだな。」
「あら…征ちゃん。」
「僕はどちらもタイプだけどね。ところで玲央、追いかけなくていいのか?」

征ちゃんの言葉が理解出来ずに首を傾げるとほんの少し征ちゃんが目を伏せた。

「大切なモノほど、簡単にその手をすり抜けていく。
お前の言葉を最後まで聞く事なく去っていった者の姿を見た…が?」

頭からサッーっと血の気が引いていくのが分かった。

「征ちゃん、ありがとう。」

アタシは直ぐにその後ろ姿をとらえようと走った。


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