第3章 桜雨
ハードな練習を終えて部屋に帰ると先ずはお風呂。
部室にシャワーは完備してるけど、やっぱりシャワーじゃ物足りない。
練習で酷使する筋肉を揉み解すようにゆっくりと温めのお湯へ浸かる。
その日の気分で入浴剤を選ぶ今日のチョイスはレモングラスのエキス入りバスソルト。
お風呂の時間ってリフレッシュ出来るから好きなのよね。
休日なら読書をしたりと、ついつい長くなるお風呂も平日はそういう訳にはいかない。
もう少し浸かっていたい気持ちを堪えて、部屋に戻ると鞄の中から紙袋を出した。
今日のお昼にさんから貰ったクッキー。
形まで桜をイメージさせるんだから美味しくないはずないじゃない。
夕食前だけど一つだけ…
口の中に含むとフワッと広がるバニラの香り。
桜の香り…と言っていた彼女の言葉を思い出して少し首を傾げた。
だけど、その答えは飲み込んだ瞬間に解った。
クッキーを飲み込むと口の中に残る桜の香り。
それはほんのり感じる程度だから全然悪くない後味。
こう言うフレーバーモノは香りの加減が難しいのはアタシも知っている。
(ヤダ…アタシの比じゃないわよ。)
余りにも優しすぎる余韻にもう一つ口に含みそうになったけど、
後でのお楽しみにするとするわ。