第2章 オレの日常
若干呆気にとられながらも、
踵を返した赤司の背中を確認してオレはまた本に目を落とした。
ラノベを好んで読むのは、現実にはない『非日常』があるからだ。
まさか、自分の日常がソレに変わるなんて思ってもみなかった。
「千尋?」
赤司と入れ違うように姿を現したのは、だった。
「なんだよ。」
「今…赤司君だっけ? あの子とすれ違ったから。」
「赤司の事、知ってるのか。」
「女子バスケ部でも有名人だもん。バスケ部の主将なんでしょ?」
「ああ。」
オレの存在は殆どのヤツが気付かない位に薄い。
そんなオレを見つけたのはだった。
そして…赤司。
「、アイツどう思う?」
「アイツ?」
「赤司。」
「う〜ん…よく分からないけど。不思議な感じ?」
が不思議そうな顔をしてオレを見つめる。
「あんま見つめんな。」
「だって…。」
「なんだよ?」
「千尋、なんだか嬉しそう。」
「は? 気のせーだろ。」
多分…オレも気付いてない事実。
誰かに見つけてもらえて少し浮かれてる…のかもしれない。
若しくはラノベの主人公になった気分…なのかもしれない。
こうしてオレの『非日常』は始まった。