第2章 オレの日常
受験勉強もしなきゃなんねーし。
別に固執する程の何かがある訳じゃない。
だから辞めようと思っていた矢先…
人が来る事は殆どないあの場所に赤司は颯爽と現れた。
「何を読んでいる?」
「あ? ラノベだよ。」
本人に聞いた訳じゃない。
…がコイツは日本で有数の名家の子息だと言う話。
しかも次期後継者。
そんなお坊ちゃんがラノベなんて知るわけねぇーか。
「へぇ…実に興味深いね。そう言うところ迄似てるとは。」
「…。」
コイツの言っている意味がサッパリ分からないオレは返す言葉もなく、
ただ本に目を落としていた。
「6人目になってみないか?」
オレは聞き間違いだと思った。
「は?」
「バスケットの世界でその意味を知らない者はいないだろう。」
6人目…
シックスマンは単なる控えメンバーとは異なり中盤でゲームの流れを変えるなど、
特別な使われ方をされることも多い。
高い能力を持ちながら、主力選手としては扱い辛い選手…
「そんなモンになれる程の能力は持ち合わせてねぇーよ。」
「そうかな? 君なら出来るさ。君は帝光時代の6人目を超える。」
「あそこにどんだけのヤツがいんだよ。高校で活躍してるヤツの殆どは
帝光出身者だろーが。」
「そう言うな。とにかく、今日からスタメンと同じメニューだ。
遅れることのないように。」
そう言って、有無を言わせることなく赤司は去っていった。