第1章 プロローグ
そして、とうとうやって来た約束の日。時間を気にしつつも、のんびりと休日を満喫している。
約束の時間まで後五分。先程から、時計の針がいつもよりゆっくりと進んでいるように思えてならない。
(行くもんか)
そう何度も自分に言い聞かせたが、どうしても祐介(かれ)の事が心配だ。何故なら、今日の天気は雨。それもどしゃ降りの。
先程から何度も窓が悲鳴を上げている。
私は傘を片手に家を飛び出した。いるはずがないとは薄々感じてはいたが、念のために様子を見に行くだけ。もし、自分のせいで風邪でもひかれたらたまったもんじゃない。
バスを降り傘をさして歩いていると、見えてきた約束の映画館。雨が降っているせいで人の出入りが少ない。
(……あ)
映画館の入り口で傘をさして立っている人がいた。
――祐介だ。B系スタイルの彼は、どこか遠くを見つめている。
「何で帰らないの?」
無意識の内に、祐介に声をかけていた。
「来てくれたんスね!!」
すると、パッと明るくなる祐介の表情。