第1章 プロローグ
「野田明日香(のだあすか)さん!!好きです、付き合ってください!!」
桜散り行く春の午後。誰もいない放課後の廊下で受けた告白。相手は名前も知らない坊主頭の同級生だ。
「ごめんなさい」
返事は考える間もなくNo。得体の知れない相手と付き合えるほど、私は出来た女ではない。
「何でッスか!?」
興奮状態の男が私の肩を掴みユサユサと激しく揺らす。
「は、放して」
力が込もっていない私の身体はガクガクと揺れ、上手く声が出てこない。
「あ、すいません」
正気に戻った男が、慌てて手を放した。
なんて、乱暴な男だろう。わざとではないだろうが、あまり良い印象ではない。