第2章 穴の中
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『今、穴に落ちているあなたへ
このゲームは、クイズに答えられないと
一生抜け出せなくなるか
死あるのみです
クイズはたったの1問!
答えは、あなたよりも
周りの人の方が知っているかも…』
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「………はあ?」
思わず、すっとんきょうな声を出す。
なんだ、これ。攻略本というか、説明本の方が正しいんじゃないか?
そんな事を思っていると、頭上から
「やあ、エルス」
と、なかなかダンディな声が聞こえてきた。
エルスは急いで上を向く。
そこには、紫とピンクが混ざったような色のスーツを着た、長身の男がいた。
髪は天パで、猫耳が生えている。
「だ、誰だ、あんた」
「我はチェシャ猫。クイズの出題者さ」
ニンマリとチェシャ猫が笑う。
「あ、そ…なら、早くそのクイズを出してくれないか?」
冷めた目で見るエルス。
「まあ待て。エルス、君は不思議じゃあないのかい?」
「何が」
「我のことさ。なぜ、君の名を知っているのか、とか。この猫耳はなんだ、とか。ああ、ちなみに、この耳は自前さ」
ピコピコと、チェシャ猫は手を使わずに猫耳を動かす。
だが、そんなことエルスには関係ないし、関心もなかった。