第5章 友達
「アタシ、刈真君を見て思ったんだ。
普通の人だったら、あんな光景みて
なにも手だせないのに、「いかなきゃ」って
かっこよく教室に入ったんだよ?
その姿みたら、なんてアタシは臆病なんだろうって。」
少し涙声になりながら、翠は話し続ける。
「いつもいつも、大河達が沙織ちゃんを
いじめてるの見て、そのまま見て見ぬフリしてた。
本当…ごめんね。この場を借りて
謝らせて。 ほんと、ごめんなさいっ!!」
「朝倉さん…。」
私は、クラスの全員が敵だと思ってた。
皆、心の中で私を見下してんだとか、勝手に
理由つけて、誰にも頼ろうとしなかった。
そんな日常のなかで彼に出会えたんだ。
「…ごめん。嶋瀬君。」
「さっき、せっかくお昼に誘って
くれたのに、私…。」
「いいんだよ。」
「え?」
「僕は、少し必死になってたんだ。
教室にいても、女の子達が
なんか寄ってきてしまうから、
焦っててさ…。ごめん。」
「ああ~その気持ちわかる!
あの子達はイケメン君には目がないからね!」