第24章 星屑の泪
翠「お前っっっ!!!」
翠は大声で叫び、
その『薬』を奪おうとした。
だが、体が言うことを聞かない。
必死に伸ばそうとした右手は、
汗ばんだまま未だに動かなかった。
幸宏のもっていた『薬』
それは、一見見れば
なんの特徴もなくただの風邪薬と
間違えられる程のものだ。
だが、その錠剤の正体は、
『 強力な毒 』である。
日本の研究技術では
まだ特効薬も何も発見されておらず、
化学変化によって、
一粒体に取り込めば
一瞬頭に痛みが走り、睡魔に襲われる。
眠ってしまえば最後、
目が覚めたら雲の上だ。
そんな強力な毒を知っているのは、
ある人物たちだけ。
…。
幸「でも、全員一気に~なんて、
貴女様も、こちらにしても
気が滅入ります。だから
ひとりずつ、という決まりです」
幸宏の話の半分を、
翠は聞いてはいなかった。
だが、ゆっくりと顔を上げた。
翠「…最初のひとりは…?」
幸宏は、
笑顔で言った。
幸「 刈真くん、ですねぇ 」
翠は、膝から
崩れ落ちた。