第23章 さあ!海へ!!
ブオオオオオーンッ
小刻みのエンジン音と、
次々と流れていく外の景色。
晴れ渡る空を眺めながら、
私たちは車に揺られていた。
翠「いやぁ~、大人がいると
交通手段が広がるねぇ」
白のタンクトップに
星のデザインが散りばめられている
夏用のパーカーを着ている翠。
しみじみと言うと、
自分の顎を摩って親指を
グッと突き上げた。
翠「車で行くなんて、
本当にナイスだよ!連さん!」
呼ばれた名前に、
その人は操縦席から
ひょこっと顔を出す。
連「喜んでもらえて良かったよ。
レンタカーなら、電車よりも
お金かかんないだろうし。
というか、俺も誘ってくれて
本当にありがとうね、」
急遽この旅行に
参加してもらった 連 だ。
シアン色のTシャツに
青のジーンズ。
普段はしていない眼鏡を
していたので、
すごく意外だと珍しく思えた。
だけど、似合っているのが現状である。
口角の両端を
ニッと上げて、また前を見る。
大人って格好良い…
改めてそう思った瞬間だった。
琴「私…助手席なんて初めてかも」
連の隣にいる琴音が
嬉しそうにそう言った。
沙「琴音ちゃんの家には
車はないの?」
琴「ううん、あるんだけど
助手席はいつもお母さんで
私は後ろで両親を見守ってた感じ。
お母さんがお父さんのこと
色々助けてたところを見ててね、
私も助手席に座ったら
あんな風に運転手を助けられるかなって」
少々の恥じらいを
ほんのりと顔に浮かべる彼女。
私の前に座っている美紀が、
「じゃあ椿さんのこと助けなくちゃね」
と微笑んだ。
連「宜しくね、琴音ちゃん」
相変わらず眩しい笑顔。
琴音は目を大きく開けて、
「はい」と緊張気味の声を出した。
景色は次々と変わっていく。