第23章 さあ!海へ!!
終業式を終え、
教室に戻る途中。
刈真と翠と共に
中庭を歩いていると、
後ろから「沙織ちゃーん」と
声がしてきた。
振り返ると、
栞鳳が元気に手を振っている。
その後ろには、
栞鳳と同じくらいな身長の
男子生徒がいた。
右目に眼帯を付けていた。
栞鳳と男子生徒は、
走って私たちに近寄る。
栞「いやぁ~いよいよ海だねぇ」
沙「そうですね」
刈「栞鳳さんも、一緒に
海に行くんですよね?」
栞鳳は、当たり前でしょと
ゆるい笑顔を見せた。
その時、栞鳳の隣にいる
男子生徒が口をはさむ。
来「会長、そろそろ時間です」
時計を見ながら言う彼を
横目に、栞鳳は溜息をついた。
栞「え~、もうちょっとだけ!
来翔くん先に戻ってもいいからさぁ」
栞鳳の言葉を聞いて思い出す。
そうだ、彼の名前は
神崎 来翔
生徒会副会長だ。
来「ダメです。
時間は厳守して頂かなければ」
眉ひとつ動かさずに
栞鳳のお願いを拒否した来翔。
栞鳳はぷうっと頬を
膨らます。やがてがっかりしたように
手をぶら下げると、
「じゃあまた後でね」
と後ろを向いて歩き始めた。
「また後で…」
私たちは、小さく手を振る。
来翔は、一礼すると、
すぐに小走りで栞鳳の隣に
駆け寄っていった。