第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
奈「あー忙しい忙しいっ」
わざとらしく声をあげ、
淡々と私に近づいてくる影がいた。
沙「…奈々美さん…。」
奈「ん?って!!
なにこれ!?びしょびしょじゃん!!
ちょっとっつっ立ってないで
拭きなさいよっ!!ったく、
どこまで使えないんだよブスっ!!?」
投げやりな言葉が
私の中の私を刺激する。
私は、奈菜美を見つめた。
沙「お客様にかけられました。
理由は説明しなくてもご存知ですよね?」
奈菜美が
唖然としているように口を開ける。
奈「は?どーゆう…意味…?」
沙「着替えてきます。」
私はそれだけ言い残すと、
スタスタと彼女を横切り、
控え室の扉に手をかけた。
私が消えた後、
実咲は奈菜美に近づいた。
実「奈菜美っあいつに
効いてんの?これ。」
奈「…。」
実「奈菜美…?」
その時、
奈菜美がフンと鼻で笑った。
奈「もっとメソメソ泣いてりゃいいのに。」