第3章 普通の子
HRまでにはまだ時間があった。
私はいつものように、
屋上で読書をしようと席を立つ。
ここでは生徒達の話し声などで
静かに過ごすことなど出来ない。
それに、あの人達に会うのも怖いから…。
屋上へと 本を二冊程抱き抱える。
このまえやっと手に入れたお気に入りの本だ。
これらをもって急いでドアの方へ向かった。
ドンッ!!
なにかにぶつかる音と同時に
バラバラと床に落ちる本たち。
私は慌てて本を拾おうとしゃがみこんだ。
その時、視界の隅にあった足が、
私の本を踏んだ。
「俺に謝るより本が大事なのかぁ?」
驚いて顔をあげると、本を踏んだのは
私をいじめてるグループの1人、
藤井 大河(ふじい たいが)だった。
彼はグループの中でも二番目に上。
力がとても強く凶暴。
だが、顔立ちも頭もまあいいので
密かに彼に恋をしている生徒も少なくはない。
「ごっ ごめんなさい!!」
私は急いで謝罪する。
すると、ふぅーっという声がした。