第14章 刈真の過去
刈「…っ…」
沙「…。」
沙「いつまでも過去のことを
引っ張って傷ついている刈真君を…
見たくないの…っ」
月の明かりが、
一層部屋の中を照らす。
床に伸びるふたりの影は
どちらも悲しそうに薄くなって消えていった。
沙「…見つめ直して。」
刈真は…静かに微笑む。
沙「自分のこと…
わかって…手放してあげて…。」
かつて、
私にそうしてくれたように。
刈「…ごめ…ん…。」
沙「…え?」
刈「ごめ…ん…ね…。」
その時私が見たのは
いつも冷静なその判断
いつも必ず支えてくれた手
いつも側にいてくれたその姿
そんな彼が初めて見せた…
一筋の ″ 弱さ ″ だった。