第14章 刈真の過去

翠「…どういうことですか？それって…」


翠も私と同じように思ったのか、
少し弱々しい声で問いかける。

雫はまた、表情を曇らせてしまった。

私は息を呑む。

雫は、何かを決心したように、
ぐっと手に力を込めていた。
その証拠に、膝に置かれている拳は震えている。

雫がゆっくり口を開くと、
私達は少しだけ身を乗り出して、
彼女の言葉に耳を傾けた。





雫「……発達障害…って聞いたことある？」


翠「発達障害！？」

翠が驚いたように声を張る。
確か、発達障害とはコミニュケーション障害や
知的障害のことではなかっただろうか。

人と話すことが苦手だったり、
人よりも知能や精神が成長しない…。


私はその時、
はっとして口を開ける。


まさか。いや、そんなはずはない…

だけど…。



沙「もしかして…？」

私は、そっと念押しするようにいう。
雫は、しっかりと頷いていた。

翠も後からわかったように、
目をパッチリと開けたままだ。



雫「…刈真は…








　　　発達障害なんです…。」




それは、思いもよらない大発言だった。