第12章 孤独は無限
「どうだ。友達はできたか?」
琴音の父親は新聞を読みながら問いかける。
その質問に、真実をかたる勇気はなかった。
「うん。 たくさんいるよ。」
「そうか。」
父親は安心したようにまた新聞に目を落とす。
本当は、正反対なんだよ。
琴音はそんな父親を見つめ心で叫ぶ。
友達なんて ひとりもいないよ。
それよりも、私、クラスから突き放されてるもん。
毎日学校に行くのも辛いんだよ。
だけど、家族に心配はかけたくないの。
嘘だよ
ねぇ、気づいてよ。
私 学校でいじめられてるの。
友達なんて、いないんだよ。
今まで私のこと、ずっと見ててくれたんでしょう?
どうして、そんな安心しきった顔なの。
私の気持ちなんて 知らないくせに
皆 敵 だ。
「私はもう、誰にも関わらない。」
「? なんか言ったか。琴音。」
「ううん。何でもないよ。」
そう、なんでもないの。
私は、硬い鉄壁をつくることにしただけだよ。
こうすれば、誰も私に関わらないでしょう。
「ここにいたんですね。」
あれ? 違った。