第2章 いきつけのフード店
過ちを犯そうとした私を止めてくれた男の子
その子が明日から、
「この学校に通うから案内してくれ」
と、頼まれ、私は今、彼に学校のことを
色々教えている。
先生のことも、最近の学校のニュースも。
普段はなにも言えないのに
この時だけは、喋れば喋るほど口が止まらなかった。
彼はそんな私の話を
楽しそうに頷きながら、ちゃんと聞いてくれる。
嬉しくてたまらない。
そしてようやく案内と話も終わり、
また屋上にもどった。
彼は満足げに微笑み、私を手招きして
塀を背にもたれかかった。
「ありがとう。君は面白い人だね。名前は?」
そう言われて私はドキっとする。
名前なんて聞かれたこともあまりなかった。
それより、お礼なんて言われたことは一度もない。