第1章 さよなら そして出会い
彼は そう、 といい、
またまっすぐ前を見つめ直す。
「君は今」
「…え?」
「君は今、ここから命を投げ出そうとしたね。
でも、それって正しいことなのかな。」
私はドキっとした。
なんて言ったらいいのだろう。
命を投げ出そうと…なんて。
私はただ、そっちの方が皆幸せになると…
あ…ちがう…。
彼の言葉に私は我に返される。
皆が幸せになる って、
そうやって逃げようとしているだけじゃないか。
「…どうして こんなことしようとしたんだろう」
そう私が言っていると、彼は立ち上がった。
そして
「僕、明日からここに通うんだ。だから、
学校を案内してくれないかな。朝になって
人に教えられるのはなんか嫌なんだ。」
明日から…ここに通ってくる…
そうか、この人は転校生なんだ。
「…もし、私でもいいなら、案内します。」
私はちょっとだけ胸を躍らせた。