第1章 さよなら そして出会い
彼の横顔はスッキリとしていて
まっすぐ前を見つめていた。
フワッと軽くカーブのかかった黒い髪
吸い込まれそうなくらい綺麗な瞳
だけど、その瞳の色は怪しく輝く銀色だった。
風が吹くたびに、彼の髪から甘く
柔らかい香りがしてくる。
私は完全に見とれていた。
「どうして。」
「! あっ、え?」
突然の彼の声に驚く。
「どうして。そんな悲しい顔をしているの」
彼がこちらを向く。
初めて顔を見合わせ、私は戸惑った。
私の顔は今、そんな顔をしているのだろうか。
「…どうして…かな…。」
答えは思いつかなかった。