第21章 【合宿 第四幕】
アハハハと力は乾いた笑いをした。 離れた地方の学校の人にここまで言われている自分は一体なんなのかとすら思えてきた。
「俺はいいけど、別に。」
赤葦は言って立ち上がった。
「そろそろ戻る。木兎さんあたりが勘付いたらうるさい。」
「俺も、田中とか西谷が起きて騒いだら面倒だ。」
「お互い馬鹿の扱いには苦労するな。」
「そうだね。」
2人はそうして途中まで一緒に廊下を歩いた。先に力が烏野が泊まっている部屋で足を止める。
「話に付き合ってくれてありがとう、赤葦君。お休み。」
力は言って襖(ふすま)に手をかける。
「縁下君の、」
赤葦は返事の前に言った。
「君の天敵はきっと、妹さんの良さが一発でわかる奴だな。」
「赤葦君。」
疑問形で呼びかける力にしかし赤葦は答えず、じゃあお休みと言って去っていった。
図星を刺された力はしばし襖の前で固まっていた。
次章に続く