第21章 【合宿 第四幕】
「最初に笑った時が可愛かったからつい。」
「それだけ。」
赤葦は尋ねてくる。
「あとは色々きっかけがあってハマった。」
「危ないな。」
「よく言われてる。」
力は笑いながら言ったが危ないどころか実際はもう一線を越えている。胸がちくりと痛んだ。そして赤葦の切り込みは容赦がなかった。
「実はもう線越えてたりとか。」
「まさか。」
内心ギクリとした力は笑ってごまかした、つもりだったが
「顔に出てるよ。」
赤葦はごまかせなかった。
「赤葦君て容赦ないな。」
「本当の事言ってるだけだろ。こういうのもあれだけど見た目によらず結構なことしてるんだな。」
「自分でもびっくりだよ。人生何があるかわからないよな。」
「と言うかいいのか、それ。」
「わからない。」
力はこれまた正直に答えた。
「今の所親にも内緒にしてる。万一怒ってあいつをまた他所にやったりしたら困るから。」
「少なくとも腰は抜かすだろうな。」
赤葦は言って立っているのがしんどくなったのか床に座り込んだ。
「他に知ってる人は。」
「線越えちゃったの知ってる人ならここにいる人で音駒の黒尾さんと孤爪君。後は他の学校に2人。」
「烏野のみんなは。」
「今んとこ誰にも言ってない。でも何人かは薄っすら気づいてると思う。」
「烏野の人が嫁がどうの言ってたのそれか。」
力もそこでやっとわかった。
「俺の事見ていたの、赤葦君だったのか。」
「自分でも珍しいと思うけど気になった。」
赤葦はハァと息をついて更に話を続けた。
「妹さんの写真とかあるの。」
「ホント赤葦君がそこまで聞くなんて意外だな。」
力は苦笑してスマホを操作した。力からスマホを手渡された赤葦は写真ビューアのアプリに表示された少女をじっと見つめる。しばらくそうしてから赤葦は感想を述べた。
「可愛いな。」
力は思わず赤葦を見つめた。
「何。」
「あ、いや、初見でうちの美沙を可愛いって言う人珍しくて。お世辞だったらごめん。」
「そうなのか。それに言っとくけどお世辞じゃない。」
赤葦は首を傾げる。
「美人じゃないけど何か可愛い感じがする。可愛げがあるってのが正確かな。」
「ありがとう。大抵は地味とかあんまり可愛くないとか言われちゃうから。俺は可愛いと思ってるけど。」
「欲目が半端じゃないな。」