• テキストサイズ

【ハイキュー】エンノシタイモウト第二部

第20章 【合宿 第三幕】


力は知らないがその夜の事である。体育館でまだ自主練に励む音駒、梟谷、烏野の一部の連中、その中に赤葦と黒尾の姿があった。

「一体どうされたんです。」

一息入れている時、烏野の連中が聞こえる位置にいない事を確かめてから赤葦は黒尾に言った。

「何が。」
「烏野んとこ行って誰か弄ってましたが。」

尋ねる赤葦に黒尾はああ、と反応した。

「烏野の6番だよ、ほれあの七三の。」

黒尾はニヤリとする。

「貴方がわざわざ行くなんて何事なんです。」
「べっつにー。妹萌えすぎシスコン野郎をちょっとおちょくってみただけ。」
「萌え過ぎシスコンて何ですか、危ない響きしかありませんが。」
「そんままだ、こないだ行った練習試合ん時なんか傑作でよー、妹によるな触るな近寄るな丸出しだったわ。」
「その場に妹がいたんですかというか何でいたんですか。」
「映像記録要員で兄貴が引っ張ってきた。」
「もう何が何だか。」

流石の赤葦も頭を抱える。

「しかしそれをいちいちいじりに行きますか、貴方も。タチ悪い。」
「あの妹にはちっと借りがあんだよ。」

流石に縁下兄妹の現状を勝手に喋る黒尾ではないが、兄妹の事情に首を突っ込んだ時美沙にCuriosity killed the cat.(好奇心は猫をも殺す)と言い返されたのを若干根に持っているようだ。勿論赤葦の知らないことではあるけれど。

「ついでにうちの山本とリエーフが気に入っちまって、特に山本がマニアックに走って面倒な事になりやがった。」

黒尾はくっそ、と苦笑いをする。

「すごくくだらない事情があるのはわかりましたがあまり騒がないようにお願いしますよ、うちのエースが首突っ込みたがって止めるのが一苦労なんで。」
「わり、わり。」

ちっとも悪びれている様子なく黒尾は言った。

「逆に、そのくだらない事情をわざわざ聞くお前は何。」
「別に。意外な人物が着目されているようなので気になっただけです。」

しばし2人は沈黙する。

「何て名前でしたっけ。」
「あ。」
「烏野の6番。」
「えーと、やべ、俺も忘れた。ちっと待ってろ。」

苗字を忘れられるのもまた縁下兄妹にはよくあることだ。黒尾はスマホを取り出してどこかにメッセージを飛ばす。程なく返事が来たようだ。
/ 333ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp