第3章 【唐突な発案】
「お前の妹だろ。」
「悪い西谷、流石に何言ってんのかわからない。」
「何でだよっ、あんだけお前と一緒なんだぞ、もう俺らの身内みたいなもんじゃねーか。」
「いやあいつ、所属してないから。」
「男がゴチャゴチャ言うんじゃねぇっ。」
「ダメですよ西谷さん、それじゃあ。」
意外にもここで口を挟んだのは月島だった。何だかニヤリとしている、力は悪い予感どころか悪寒がしてきた。
「縁下さん、」
月島は世間でいう悪い顔で言った。
「あいつ置いてっていいんですか。あいつ1人で出かける時もあるんでしょ、知らない所でちょっかいかけられるかもしれませんよ。」
力は頭の中でグサリという音がした気がした。
「そうですねぇ、例えば青城の及川さんとかないとは思うけど岩泉さんとか。あ、外出なくてもオンラインの顔も知らない奴が何かしてきたりして。」
更に頭の中でグサリという音がした。月島の横で山口がツッキー、やりすぎだよ失礼だよ、と言うが月島はわざと聞き流している。力はしばらくぐぬぬぬといった顔をし、少し恨みがましい目で月島を見てからお伺いを立てるように他の連中を見回した。
「おう、連れてこい。」
澤村がニッと笑い、代表して言った。
「その方が安心だろ。それに楽しそうだしな。」
「ありがとうございます。」
「縁下さんっ、美沙も何か作ってくれますかっ。」
「あいつ自称料理出来ない人だけど頼んだら少しは頑張ってくれるかもしれないな。」
「じゃあ、じゃあ、出し巻き卵お願いしてくださいっ。」
「美沙の弁当つまみ食いした時に気に入ったな。」
「ぐっ、美沙の奴、縁下さんに喋ったなっ。」
「そもそも何でてめーはあのスマホオタクの弁当つまみ食いする状況になったんだ。」
「べ、別にいーだろっ。」
「影山、頼むからもうちょい良い呼び方はないのかい。」
「うっ。じゃ、じゃあ、ままコ。」
「ハンネときたか。まあいいよそれで。」