第19章 【合宿 第二幕】
「烏野6番の妹のせいだ。」
「あの子のせいなのか、これ。」
「山本が地味だけど優しい系とか何とか抜かしてんだ、あいつがきっかけに決まってる。」
「ははは、確かに悪い子じゃなかったけど。おまけにあの子と割と連絡してるっていうリエーフと犬岡の方が落ち着いてみえる始末だな。」
「笑えねーわ、覚えてろあの地味リボン。」
黒尾は呟いた。
その話題の地味リボンは一度おもいっきりくしゃみをして、誰や噂しとるんは、動画サイトの連中か及川さんかと考えていた。ちなみに今日はリボンではなくブレスレットの方だった。
この際である、梟谷側も見てみよう。
「何だか音駒がうるさいな。」
木葉が呟く。
「えー、いつもじゃね。」
猿杙は気にしていないのか呑気に言う
「何かたのしそーだぞっ。」
「だから貴方は首を突っ込もうとしない。」
「たまにはいーじゃん、赤葦ー。」
「貴方のたまには癖になりかねません、駄目です。」
「けちーっ。」
「木兎どうした、いつも以上にそわそわしてるのな。」
リベロの小見春樹が不思議そうに言うが赤葦は大したこたありませんよ、と返す。
「んで、」
木葉が片耳に人差し指を突っ込む仕草をして言った。
「今度は烏野か、何なんだ。」
「あのチビちゃんか。ん、さっき弄られてた七三の子に何か言われてるみたいだ。」
猿杙が笑ってるのかそうじゃないのかよくわからない顔で言う。
「とにもかくにもうるせえな。」
木葉の言葉に赤葦はチラリと烏野側に目を向けた。日向翔陽がビョインと飛び上がり、縁下力に向かって何か言っている。何を言っているか全ては聞き取れなかったが、日向が嫁にするんですかとか何とか言って、力がこらっ鵜呑みにしちゃダメだろっと言っているのは聞こえた。
「今度は嫁って何なんだ。」
赤葦は呟き、木葉にどうしたと聞かれた。
「いえ別に。」
縁下力は何か見られている気がすると思い、日向をなだめながらも一瞬振り返った。しかし他のチームは誰もこちらを見ていない。気のせいかとも思いつつ少し落ち着かなかった。
次章に続く