第18章 【合宿 序幕】
烏野の内部で若干の動揺が走る中、梟谷学園の連中も何事かと外から見ていた。
「何だあれ、烏野と音駒が楽しそーだなっ。」
主将の木兎光太郎が何やらワクワクテカテカした顔をしている。気をつけないとこいつは渦中に突撃するかもしれない。
「つーか、音駒にいじられてるっぽい烏野の七三、あれ誰だ。」
「あんな子いたかなぁ。」
首をかしげるのは木葉秋紀と猿杙大和だ。
「何かいたような気がします。」
ここで2年の赤葦京治が呟いた。
「あかーし、マジでっ。よく覚えてんなっ。」
「話聞いてましたか木兎さん、いたような気がするって言ったでしょう。」
「木兎ぶーたれた面すんな、殴りたくなるわ。で、赤葦、まだ話続きありそうだな。」
「言うほどではありませんよ、強いて言うなら」
木葉に促されて赤葦はもう一度烏野の連中の方を見やる。丁度縁下力が成田と木下によって渦中から引きずり出してもらっているところだった。
「少なくともあの黒尾さんがわざわざ弄りに行くようなキャラにはみえませんでしたが、何があったのか。そして木兎さんは首突っ込みに行かない。」
「離せ、あかーしー。」
「木葉さん、後お願いします。」
「木兎てめーっ、訳わかんねーことで俺の手煩わせんなっ。」
「ちょちょっ、タンマっ。」
わあわあやりだす3年を他所に赤葦は成田と木下に連れられる縁下力を見つめてこっそり呟いた。
「シスコンて、聞き間違いか。」
次章に続く