第18章 【合宿 序幕】
後はいつも通りでチームに合流し、わぁわぁ言い出す愛すべき阿呆共をなだめたり突っ込みを入れたりしながら合宿先へ向かう。
「縁下ー、大丈夫か。」
道中で木下が言った。
「大丈夫ってどういうこと。」
「だってよ、長期間妹と離れるんだぜ。」
「別に死にゃしないよ、俺を何だと思ってるんだ。」
「なーんだ、妹が不足すると禁断症状出るのかと思ってたわ。」
「お前ね。」
「でもどうせあれだろ。」
ここで言ったのは成田だった。
「縁下の事だから行く前に大量の注意事項を美沙さんに申し渡してて、おまけに向こうに着いたら生存確認のメッセ送るんだろ。」
「悪いか。」
「成田っ、こいつ開き直ったっ。」
「重症通り越して危篤状態かな。」
「もう、何なんだよ。」
力はむすっとする。
「完全な馬鹿じゃないのにどうかすると天然ボケであんま人を疑わない妹持った俺の苦労を察してくれよな。」
「それは何となくわかるよ。」
成田は言った。
「でもあの子に手を出すのはお前除くとそーとーのマニアでそんなに湧いて出ないと思うけど。」
「そのそーとーのマニアが青城にいるから困るんだよ。」
力が言うと木下が引きつった笑いをした。
「まだウロウロしてたのかよ、及川さん。」
「ハンドルネームままコのファンなんだって。」
「縁下、」
木下が力の肩にポムッと片手を置いて言った。
「強く生きろよ。」
「無駄にいい顔で言うのやめろっ。」
「とりあえず今回はなるべく美沙さん絡みで暴走するのは勘弁してくれよ。田中と西谷に加えてお前の面倒見るのは骨なんだから。」
成田にここまで言われると流石の力もぐぬぬとなるしかなかった。