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【ハイキュー】エンノシタイモウト第二部

第18章 【合宿 序幕】


いきなりであるが合宿である。それも関東地方でまたも音駒とか梟谷学園とかとである。(細かいことは気にしてはいけない)顧問の武田一鉄の尊すぎる尽力には涙するしかない。そういう訳で事は決まって、当然縁下力も参加するのであった。

「気ぃつけて、兄さん。」
「ああ美沙、お前もね。」
「うん。」
「オンラインで揉めたりするんじゃないよ。」
「うん。」
「荒らしには絶対餌をやらないように。ライブ配信する時は先に俺に連絡すること、オフラインで会いたいとかいう馬鹿には絶対応じないこと、通話サービスのIDもうかうか漏らすんじゃないぞ。」
「いやあの、兄さん」
「父さん母さんがいない時は誰か来てもすぐドアを開けるなよ。よくわかんなかったら留守番の者だからわかんないですって言って流して。宅配が来るかどうかはちゃんと父さん達に確認するんだよ。」
「うん、気をつける、せやけど」
「あ、そうそう、家の電話も気をつけろよ。振込詐欺みたいなのが来たら合言葉を確認するように。」
「えと」
「むしろこっちのが大事かな、及川さんが会いたいなんて言ってきたら岩泉さん付きが絶対条件だから。」
「いや兄さん、向こうも練習必死やと思うで。」
「あと、これは大丈夫と思うけど外に出る時は露出度の高い格好をするんじゃないよ。」
「せえへんよ、大体こんなスタイルの悪いまるっきし餓鬼みたいな格好晒す阿呆がどこにおるん。」
「餓鬼て本家本元の亡者の方か、というかまだその辺の自覚が足りてないんだなお前は。」
「ようわからんけど注意事項えらい多いなっ。」
「当たり前だろ。」

力は言って両親の目が届いていないのをいい事に義妹の顔を引き寄せ、その唇を自分の唇で塞ぐ。珍しくリップクリームの味がした、さくらんぼのやつだ。

「どうかすると天然ボケなんだから、兄貴としては心配もするよ。」
「兄さん。」

呟く義妹を力はぎゅっと抱きしめる。

「どこにも行くなよ。俺も消えたりしないから。」
「うん、わかった。」

しがみつく義妹の手が愛おしい。そうしてかなり名残惜しくはあったが力は出発した。
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