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【ハイキュー】エンノシタイモウト第二部

第17章 【外伝 茂庭とエンノシタイモウト】


「名乗るの遅れたな、俺は茂庭要。3年。よろしくな。」
「一応改めて、烏野1年縁下美沙です。兄はそのウィングスパイカーの力、その辺にいるただの動画投稿者です。」
「んんっ。」

さらりと言われた自己紹介の内容に茂庭は思わず反応した。

「あの、動画投稿者てただものなの。」
「絵は下手だし再生数ゲキしょぼのど底辺なので。」

うわーっ、と茂庭は思った。これはまずい気がする。

「ちょちょちょ、君ねっ。」
「はい。」
「はい、じゃないよ、天然にも程があるよ。そもそも誘った奴が言うのもアレだけど何でホイホイついてきたの、俺が悪い奴だったらどーすんの。」
「あ、う、すみません、ご指摘はごもっともなんですが、その。」

縁下美沙はここで顔を赤くし俯いた。ポテトは完食している。

「何となく兄と似た匂いを感じたもんでつい。」

茂庭は一瞬固まり、苦笑した。

「お兄さんは大変だな。」
「あの、もし兄に会(お)うたとしても、今日のこと内緒ですよ、めちゃくちゃ怒って学校以外外に出してくれへんかもしれへん。」
「ええっ、お兄さんがそこまでするっ。」
「私に対しては過保護でして。」

茂庭は引っ張りだしたパンフレット、その写真に写る烏野背番号6番の選手をチラリと見た。理性的に見える顔つきからはとても妹を極端に保護するようには見えないが

「しても無理もないかもなぁ。」

茂庭はその続きのこの天然ぶりじゃなぁ、という言葉は飲み込んだ。

何だかんだで茂庭と縁下美沙は店を出た。

「ありがとうございました、茂庭さん。」
「いやこっちこそ、付き合ってくれてありがとう。」
「では失礼します。」
「ああ、気をつけて。」

縁下美沙はパタパタと駆け足で去っていく。斜め掛けしたガジェットケースが跳ね、髪のリボンは風に揺れている。決して所謂美人ではなく、濃いキャラではあったがいい子だったなと茂庭は思う。

歩き出したら知った声に名前を呼ばれた。後輩で現キャプテンの二口堅治と青根高伸だ。

「何してたんすか、茂庭さん。」
「ん、ああ、ちょっとそこの店よってて。」
「1人でっすか。」
「う、うるさいな、いいだろ別にっ。」

茂庭はニヤニヤする二口に言い返しながらこっそり微笑む。
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