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【ハイキュー】エンノシタイモウト第二部

第16章 【喧嘩】


及川はにっこり笑って美沙を力の前に押しやる。力はすぐ手を伸ばして義妹を自分の胸におさめた。明るいうちなら外でここまでしないが暗かったのでいいやと開き直っていた。

「知り合いがこっちにいるからその帰りだったんだけどさ、まさかここで美沙ちゃんと会えるなんてねー。変だと思って捕まえて事情聞いたらおにーちゃんと喧嘩したって言うじゃん。」
「本当に申し訳ないです。」
「いいって気にしないで。本当は連れて帰っちゃおうかなとも思ったんだけどね。」

力の腕の中で美沙が身震いし、力は無表情で及川を見る。

「貴方が美沙を連れて帰ったところでどうするんです。」
「そんなの、愛でるに決まってるじゃん。」
「はぁ。」

力はポカンとし、美沙はそれは堪忍して、と唸る。つい先日似たような事を力にされたからだろうか。

「まずは餌付けするでしょ、そんで可愛い服着せて、髪飾りつけて、あとはお化粧かなぁ。美沙ちゃん地味に徹してるけどさ、お洒落したらもっと可愛いと思うんだよねー。そこまでしたらやっぱり抱っこしたいなっ。」
「あの、うちの美沙は人形じゃないんですが。」
「よく言うよ、普段ガラスケースに入れる勢いで過保護にしてる癖に。」

力の動揺を感じ取ったのか美沙が恐る恐るといった感じで顔を上げ、力と及川を交互に見る。

「いずれにせよ、度々お手数おかけしてすみません、ありがとうございます。」

義妹を保護してもらっておいて喧嘩をするという不義理をしたい訳ではなかった為、力はやや強引に話をぶった切った。
美沙も鼻をすすりながら及川にありがとうございました、と頭を下げる。

「どういたしまして、2人とも気をつけて帰ってね。」
「はい、失礼します。」

そうして兄妹は帰路についた。力は義妹の肩をぎゅっと抱き、義妹はやや引きずられながら一緒に歩く。

「父さんが迎えに来てくれるって。歩いてるうちに会えるよ。」
「ごめんなさい。」

グスッとべそをかきながら美沙が言った。
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