第16章 【喧嘩】
「ままコですか、いえ知らねーっす。」
影山は言った。
「そうか、まあそうだよな。」
「何かあったんスか。」
「ちょっとな、ありがとう。」
次。
「美沙ですか、知らないです。」
「そうか、やっぱり日向のとこまでは来ないよな、知らない場所だし。ありがとう。」
「美沙、どうかしたんですか。」
「怒らせちゃって帰って来ないんだ。」
日向はかなりびっくりしたのか、椅子か何かから落ちた音がした。
「ちょっ、大丈夫かっ。」
だが別の心配をしている余裕は今力にはない、次だ。
「えと、俺は知らないです。」
山口はおずおずと言った。
「やっぱりか、すまない。」
「あの、美沙さんのことだからきっと帰ってきますよ。」
「ありがとう、山口。」
では次だ。
「知らないです。もっとも、ダメ元でかけてこられたんでしょうけど。」
月島はいつもの調子で言った。
「しかし驚きましたよ、あいつが家飛び出すなんて。」
「俺も正直ビビってる。ごめんよ、邪魔して。」
「いえ。ただ貴方なしであいつが生きてけるとは思えませんが。」
「あ、ああ、ありがとう。」
わかってはいたが1年も全滅、それこそダメ元だが次に移る。
「妹が帰ってこない。」
澤村もまた驚いて言った。
「相当の事態だな、だがすまん、俺も見かけてないな。」
「ですよね、すみません。」
「見つけたらよーく叱ってそっちに連れて行くからな。」
「ありがとうございます、大地さん。」
次。
「知らない。」
清水は静かに言った。
「喧嘩したの。」
「恥ずかしながらそうなんです。」
「見たら縁下が心配してるって言っとく。」
「ありがとうございます。」
では次。
「美沙ちゃんか、いや、見てないなぁ。」
東峰は言った。
「その、あの子人見知りで外にもあんま出ないんだよな。意外と近くにいるかも。」
「ありがとうございます、旭さん。俺ももうちょっと探してみます。」
では最後だ。