第15章 【清水の差し金、義兄の悪乗り】
「可愛いな。」
思わず呟く。
「何か、読モで有名な人みたいな感じ。」
「嘘やん。」
「ホンマ。」
力は言ってドアの前に立つ義妹においでおいでをした。義妹はいつも以上に戸惑いながら力が座っているベッドに近づいてくる。あまりにも恐る恐るなので力はとうとう腕を伸ばし、やや強引に義妹を引き寄せて自分の足の間に座らせた。
「兄さん、何かめっちゃドキドキしてへん。」
「そりゃあ、ね。」
力は呟く。
「まさかこんなお前見れるとは思わなかったから。」
「う、うん。」
「さて、まずは写真撮ろうか。」
「ふぎゃああ。」
甘えたモードに入った美沙が力なく叫ぶ。が、自分も世話になっている清水のリクエストに応えねばと思ったのかそれ以上の抵抗はしなかった。
「ちょうど座ってるからまずはそのままね。」
力は立ち上がってカメラアプリを起動したスマホを構える。ベッドにちょこんと座り力の持つスマホの方を見上げる美沙、これちょっとヤバいかもと力は思いながらカメラアプリの撮影ボタンをタップした。シャッター音が響く。
「もう一枚、ね。」
美沙は文句を言わずに従う。
「今度はそこに寝転がって。」
やはり従う美沙、シャッター音が響く。はたから見れば異様な光景、その異様さの原因はおそらく渦中にいるのが縁下力であるが故だろう。ひたすら真面目で地味でおとなしい彼が義理の妹に言うことを聞かせ、ロリータ服を着せてポーズを取らせて撮影している。
「よし、じゃドアの前に立って。」
美沙は言われるがままにベッドから降りてドアの前に立つ。力はまたカメラアプリでそんな義妹を撮りながら俺何やってんだろと頭の片隅で思った。もともと清水が美沙に着せたら写真頂戴と言ったとはいえ、それにかこつけて自分の好きなようにしている。箍(たが)が外れると自分がこんなになるなんて美沙が妹になるまで知らなかった。
そうやって力は何枚か写真を撮り、美沙と一緒に写りの良いものを選んで清水に送った。
「さて、義理は果たしたところで。」
力は言って美沙をまた抱き寄せた。
「兄さん、それやったらお着替えさせて。これもう恥ずかしい。」
美沙が言うが
「ダメ。」
力は拒否した。