第13章 【音駒との邂逅 終幕】
「ちょっ、兄さん、何でっ。」
「灰羽君と山本君にうかうか触らせた罰。」
「あ、れはっ、じ、事故っ。」
「警戒しないお前も悪い。」
「またっ、そんっ、なっ、意味がっ、わからっ」
両親が買い物で不在なのをいいことにくすぐり続ける力、くすぐったがりの美沙は身をよじり、笑いながらも息を切らす。
義兄の力がそんな義妹の姿を真上から見てごくりと喉を鳴らしていたことを美沙は知らない。
こうして縁下美沙は音駒高校の連中にも存在を知られる事になった訳だが、それとは別に最後これだけは触れておかなければいけないだろう。
コーチである烏養繋心は美沙が撮影した映像が記録されたメディアを受け取り、早速自宅で中身を確認していた。
「ハッ、やるねぇ。」
つぶさに記録された映像、ブレもボケもせず鮮明でおまけに丁度気になるところで時折アップもかかっている。
「流石縁下妹だわ。」
言って烏養はうーんと伸びをした。
次章に続く