第12章 【音駒との邂逅 第五幕】
「研磨さんだってなんやかんやでバレーやってはる、もといやっておられるじゃないですか。」
「いいよ、関西弁で。すっごく話し辛そう。というか俺はクロに誘われてやってるだけで別に。」
「んーと、」
美沙は一旦考える。
「それで続けられるてかなりのもんやと思いますけど。しかも研磨さんはチームの要なわけで。」
美沙はここで目を合わせ、合わせられた孤爪の目が見開かれた。
「あの、私何か阿呆な事言いました。」
「言ってない。ただ、」
「はい。」
「お兄さんが、やたら美沙さん気にするのわかった気がする。」
「すなわち」
「気をつけてね。」
「えと。」
「翔陽と種類は違うけど、天然で人を疑う事をあんまり知らないみたいだから。」
美沙はまた他所さんに天然言われたとしょぼんとする。
「あのさ、」
孤爪はここでスマホを取り出して話題を変えてきた。
「このゲーム知ってる。」
「知ってます、でも下手やしあんまやってなくて。」
「その端末でやってる人オンラインで知ってるけど、タッチ感度悪いからやりにくいみたいだね。」
「そーなんです、すぐピースが指から離れてしもて。一種の縛りプレイですよ。」
「へえ。どれくらい行ってるの、レベル。」
「えっとぉ、あ、こんくらい。」
「まあまあ行ってるね。」
「ちなみに研磨さんは。」
「これ。」
「ちょっ、これっ、もはや神ですやんっ。」
「そうかな。コツ掴んだら簡単。」
「えらいこと言うてはるわ。」
スマホゲームの話で静かに盛り上がり始めた2人、それを見ていた日向は大変満足そうにしていた訳だが、
「うおおおおっ。」
音駒側ではやはりと言うべきか山本がうるさかった。
「研磨がっ、美沙さんと喋ってるっ。」
「また何で騒いでんだこの馬鹿、お前も喋ったろーがっ。」
夜久が心底鬱陶しそうに言う。
「いやでも研磨ですよ、研磨。あの研磨がっ。」
「話が合う人いて良かったなぁ。」
「だから海、お前は父ちゃんか。」
「美沙は面白いっすよ、マネちゃんズはきれカワ系だけど美沙は面白い系っす。な、犬岡。」
「顔真面目なのにノリが何気に良かったっ。」
「リエーフに犬岡、お前ら黙れ、話がややこしくなる。」
頭を抱え出す夜久、そこへ芝山があ、と呟く。